日本、エストニア、ドイツとつながるこのSALONAIRの企画は、面白い試みであると思いました。というのは、僕は、ベルリンもしくは他の国と日本を撮影することで、日本とその場所を結んだ作品を制作しようとしているからです。そういえば最近、”YOU DRIVE
ME CRAZY”(http://youdrivemecrazy-film.de/de/)という映画を見てきました。その映画は、インド、ドイツ、日本にそれぞれ一人の外国人が住んで、その場所でドライビングライセンスを取得するまでを追ったドキュメンタリーでした。その感想を書く前に、僕がこの外国に来て始めに気になっていたことを少し書きます。
ドイツに住む生粋のドイツ人は、どんなことを”普通”としているのか?それはつまり、これは自分にとって当たり前すぎて何もそこに対して言う必要がないというようなことであり(例えば昔からあるもの)、これに対しては何か言わないと気がすまない(新しいもの)、とかそういうような話のことです。ある一つの方向からそれについて書くと、例えばある外国の文化が入ってきたときに、それは私は受け入れられないとか、これは受け入れることができるとかっていう話になったりするんだと思います。その話の続きで、ドイツ人が外国人をどう見ているのか、例えば何か偏見とかそういうものがあるのかとか。そういうことが気になっていました。
これは、ドイツ人の立場からものを見てみたいという欲求でした。
それで、映画の話に戻ると、この映画が描こうとしていたものというのは、現地の人からの視点とは全く逆で外国人の視点から描いた映画でした。具体的には、外国人がどうその場所に適応していくのか、また、どういった視点で彼らはその国を見ているのか、その国に住んでいるインド人,ドイツ人,日本人は、どうその彼らを受け入れているのか、という話です。
実は、僕がここに住んで1年目を迎えて、さてやっと少し慣れたので何をしようかと考えていて、やはりあたりまえにドイツ人の視点でドイツ語で、ものを考えるというのはできない。だから、それを素直に自分が外国人の視点で、この場所をテーマに作品を作ろうと思いました。そんなあたり前のことを何を言っているんだと思う人がいるかもしれないけれど、始めのころはそれが少しでもできるもんだと信じていました。でも、できないと感じました。
それで、僕もこの映画と同じような視点で外国人の目線から映像を撮っていこうと思っています。でも、僕がこの映画に対して思ったのは、確かにドライビングライセンスを外国人が外国で取得することはたいへんなわけなんだけれど、いろんな苦悩を乗り越えてそれを得た、といったときに、その映画の続きに何が待っているか。それはやはり彼らが徐々にその国での生活におわれていくんだと思います。この映画ではその後の生活については、描かれていませんでした。”それ”がなかったというところで、僕は正直すごくもの足りなさを感じてしまいました。つまり、彼らはまだその国の一員として、その生活圏の中に埋没しているわけではないと思ったからです。つまり僕がやりたいのは、外国人が外国の生活に順応して、少しでもヨーロッパナイズされたり、水の中に水があるように生活している方を撮っていきたいと思っているということです。この1年がどんな年になるのか、本当に自分でも楽しみです。
ALIMOさん、大野さん、SALONAIRに呼んでいただいてありがとうございました。