4月18日、映像美術作家のエストニア在住のALIMOさんと、充実した対談をさせて頂きました。
言い間違いの多い私が、どこまで話せるかなと、不安だったのですが、ALIMOさんと、東京でテクニック担当をして頂いた大野さんと、とても楽しい時間を持てました。見てくれた方にも、伝わって下さったら幸いです。
今回、1時間45分というとても長い対談になったのですが、これから見ようと思って下さっている方で、時間を短縮したい方がいましたら、50分くらいの時間帯から見られると作品についての内容が濃く、話しが熟成されてきたころだと思います。もちろん留学したい方でしたら、最初からがお勧めと思います。
対談の内容は「21歳の時になぜドイツに留学したのか」からこのドイツ滞在歴9年についてお話しさせて頂きました。大まかな項目と目安の時間を書かせて頂きます。
語学学校での劣等生時代(00:13:00)
ライプツィヒでのレジデンス経験(00:23:00)
ベルリン芸術大学時代(00:40:00)
制作について(00:48:00)
ベルリンでの絵描きとしての生活、(00:54:00)
東日本大震災を通して、心境の変化(00:59:00)
日本へ帰国をしようとして(01:05:00)
2011年シリーズ『海の脈』(01:11:00)(01:19:00)
焦る気持ちや嫉妬心の消失(01:16:00)
新作シリーズ『Fragments』、ギリシャでのレジデンス経験(01:20:00)
純粋に絵を描くこと(01:32:00)
この9年での絵の変化(01:36:00)
私はありのままに話せることができました。
ALIMOさんとは初対面でしたが、個性的なところはもちろんですが、とても素直な方だなあという印象でした。誰でも自分の良いところを言いたいと思うのですが、ALIMOさんはそうでないところも隠さず話していらっしゃって、率直に自分を飾らずに話せる大人の方でした。
英語もドイツ語もできなかった私が、人生初めて乗った飛行機で、知り合いもいないドイツへ単身移住したので、留学したいけど迷っている人がいましたら、勇気がでそうな内容になっているのではないでしょうか。
私がベルリンを留学先に選んだのは、物価が安く自活していけるところ、大学の学費がないこと、ベルリンという街が壁が崩壊してから街もアートシーンも発展をどんどんしている街と聞いたからでした。
20歳の私は、日本の大学制度と風習、考え方にとても窮屈な思いをしていました。
金銭的な面での進学問題、芸大美大の入試制度、女性の社会での在り方、そして日本の美術界、貸し画廊や企画画廊のヒエラルキーなどにも、20歳の私にとっては、自由とはあまり思えず希望が持てなかったのでした。
ベルリンのアートシーンやドイツの芸大の受験制度などを調べた時、辞書を必死でめくりながら、一人静かにすごくワクワクしたことを今でも覚えています。
今まで、当たり前だと思っていたことが、根底からひっくり返された瞬間でした。進学の可能性はないと諦めかけていた自分に、一筋の光が射したような気持ちになったのでした。
その時、私は自分自身をベルリンの街と一緒に発展させたいと強く思ったのでした。
特に、ドイツの芸大では、表面的なテクニックよりも、その人自身の考えや哲学、人生観、アイデアが重視されています。高校3年生の頃、毎日デッサンを油絵でして、「テクニックやセンスだけに走って、大事な絵心を忘れてしまいそうで、絵を描くことを嫌いになりたくないなあ。」と危惧したことがありました。
昔からテクニックなどではなく、魅力的な作品に、ただ純粋に興味があります。
将来、自分が学歴、賞、所属先など、そういう付属品で自信を持つのではなく、生き方と作品で自信を持てる人間、そして女性になりたいと20歳の時に思ったのでした。
対談の中でも、お話したのですが、私は自分に絵描きとしての才能があるとは思っていません。
ただ、好きなことを続けて来ただけなんだと思います。
このドイツ生活で気をつけていたことは、絵を描くこと、語学習得はもちろんですが、「人と出逢っていくこと」これをとても大切にしてきたように思います。
世界中のいろんな人達に出逢いたいと思ってきました。
もちろん中には本当にひどい人も危ない人も利用してくる人もいました。
でもどんな経験もその分、素晴らしい人に出逢った時の感動が一入ありました。
その価値観の様々な波の中で、自分がどんどん洗われていって、今の自分が出来上がってきたように思います。
先月30歳になったのですが、昔はコンプレックスの塊でしたが、今の自分は自由で柔らかになっていて、とても生きやすくなりました。よりいっそうワクワクするような30代が始まりました。
私が今、何かを始めたい人に言えることは、始める前から、自分で自分の可能性を潰したり、諦めないでほしいです。そして自分の回りの状況を言い訳にしないで欲しいのです。
なにかを始めて続けることは、たとえ最初の目標とは異なったとしても、自分自身の純粋な結晶のようなものが、そこに生まれるのだと思います。それは確固とした自信に繋がります。
今、私は仕事に、制作、展示、ワークショップなどを抱えていて、忙しいながらもとても充実しています。自活しながら、好きなことを続けられて、自分の人生を楽しめています。
そういう環境を勇気と努力で作れたことは、生きた財産だと思います。
これからも誠実に作品を創って、そしていろんな人に出逢っていきたいと思います。
長文になりましたが、最後まで読んで下さって、ありがとうございました◎
ALIMOさん、大野さん、たくさんご迷惑もご心配もお掛けしてしまいました!
今度はわが故郷、気仙沼の名酒「蒼天伝」と一緒にお話ししましょう*
これからも是非よろしくお願いします!
偶然の出逢いに、たくさんの感謝を込めて
小野寺綾
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